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2010年09月 アーカイブ

さまざまな色の歴史 2

論文『基本色彩語の意味の言語学的異議』(1978年)には、バーリンとケイの著書以後に知られるようになった新しい現地調査の結果や、関連研究分野からもたらされた知見などがまとめて紹介されています。


そこから引き出された改訂モデルは、バーリンとケイのモデルよりもずっと有効な解答を示してくれるように思われます。


色の認識と、人間の色の命名との間の仕組みを考えてみる参考として、このような研究の現状を知っておくことも決して無駄なことではないでしょう。


バーリンとケイは、マンセル・システムの色彩表によって、書く言語の基本色名で呼ばれる色の範囲を示しています。


彼らは、各言語によって、あるひとつの基本色名で範疇化される色の範囲には多少の差があるとしても、その色名の焦点ともなる色の位置には、通文化的な共通性があると仮定しました。


ただし、この結果は、現地住民に対する調査から得られたものではなく、主としてそれぞれの文化と言語に通じた複数言語習得者の報告者の指摘に頼ったものでした。

さまざまな色の歴史 3

バーリンとケイの仮説モデルの第一段階にある、基本色彩語を2つしかもたない民族では、その2つの色名はかならず黒と白を意味する言葉であるとされていました。


ところが、ケイとマグダニエルの論文では、ハイダーによるダニ族についての現地調査の報告を一例として取り上げ、彼らの仮定に対して疑問を投じています。


そこで取り上げられたダニ族も、2つの色彩語しかもっていませんが、彼らの「モラ」と「ミリ」という2つの言葉は、どうやら単に白と黒、あるいは明と暗を表しているだけではなさそうだというのです。


ハイダーの同部族に対する実地調査によると、「モラ」は白い色だけでなく、赤、オレンジ、ピンク、黄、赤紫などすべての暖色系を含めて指示する言葉であり、同様に「ミリ」という言葉も、黒だけでなく青や緑などの寒色系を一括して代表する言葉だということがわかりました。


そういうことになりますと、これらの色名の焦点となる色の位置も、必ずしも常に白のような最高明度の色か黒らしい色に決まっているとはいえなくなります。

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