さまざまな色の歴史 9
第五段階では、緑と青の範疇だけが未分化のまま残っています。
日本や中国の詩文などでは緑色をしばしば青いと形容してしまいますし、現在まで私たちの生活の中の言葉づかいとしても、緑まで青という色名で代表してしまう習慣が残っています。
日本人が緑と青を区別できなかったわけではなく「延喜式」などでは、ちゃんと緑や青緑などが独立した色名として使われています。
また、「万葉集」にも緑という色名が出てくる歌があります。
ただ緑と青を一括する複合範疇の名残りが、習慣としてずっと続いているということなのかもしれません。河成鎮次氏によると、大相撲の土俵の四隈から下っている房の色も、東を表す青房の色は実際には緑色であることを、テレビ桟敷の視聴者でもよく知っています。
しかし、アナウンサーがそれを青房ということに物言いをつける人はいません。
このような習慣は、別に日本語だけの特殊現象ではなく、かなり多くの言語が同様の傾向をもっているといわれています。