さまざまな色の歴史 11
日本人の先祖は、わずかな色の違いにも丹念に固有の色名を創作しました。
しかし、ある範囲の色系統を代表するような抽象的な基本色名を創作することは不得手だったようです。
個別的、具体的な認知の能力は優れていますが、包括的、体系的な認識を苦手としてきた民族的傾向は現在もあまり変わりません。
いずれにしても、色を系統的に分類するには、日本語の基本色名体系はあまり都合よくはできていないということが、この改訂モデルを見ても実感されます。
ケイとマグダニエルは、これらの複合範疇、派生範疇のそれぞれに、各種言語の調査研究を引用して例を示しています。
また、白と黒から派生した「グレー」は、三段階以後のより早い段階で生じる可能性があることも示しています。
メルツ&ポールのような英語の色名辞典類は、グレーはもっとも古い時代から存在した色名とされている場合があるのです。
そういえば、日本語の紫も、もっと前の段階にあってもいいような古い権威を表す色名といえましょう。
このように、わたしたちがなじんでいる日本語の基本色名をこのモデルに当てはめてみると、まだ細部については若干の疑問は残るにしても、バーリンとケイの基本色彩語モデルよりは、はるかにこちらの方が説得力があります。