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2011年02月 アーカイブ

さまざまな色の歴史 11

日本人の先祖は、わずかな色の違いにも丹念に固有の色名を創作しました。


しかし、ある範囲の色系統を代表するような抽象的な基本色名を創作することは不得手だったようです。


個別的、具体的な認知の能力は優れていますが、包括的、体系的な認識を苦手としてきた民族的傾向は現在もあまり変わりません。


いずれにしても、色を系統的に分類するには、日本語の基本色名体系はあまり都合よくはできていないということが、この改訂モデルを見ても実感されます。


ケイとマグダニエルは、これらの複合範疇、派生範疇のそれぞれに、各種言語の調査研究を引用して例を示しています。


また、白と黒から派生した「グレー」は、三段階以後のより早い段階で生じる可能性があることも示しています。


メルツ&ポールのような英語の色名辞典類は、グレーはもっとも古い時代から存在した色名とされている場合があるのです。


そういえば、日本語の紫も、もっと前の段階にあってもいいような古い権威を表す色名といえましょう。


このように、わたしたちがなじんでいる日本語の基本色名をこのモデルに当てはめてみると、まだ細部については若干の疑問は残るにしても、バーリンとケイの基本色彩語モデルよりは、はるかにこちらの方が説得力があります。


さまざまな色の歴史 12

地球上のさまざまな場所で、それぞれの土地に住む人たちの間で自然発生的に生まれた色を表す言葉は、その後周辺文化との接触によって相互に影響を与えあいながら、だんだん複雑な色のちがいを表す意味範疇の体系を形成していったと想像すると興味は尽きません。


西欧文化圏の色名は古代ギリシャ.ローマ文明、古ゲルマン系の言語などに由来する他に、ペルシャ、アラブやさらに東方に起源をもつ色名もあるといわれます。


日本語の色名も、中国をはじめアジア文化圏からの影響を蒙りながら進化、発達を遂げたことは疑いないものです。


しかも、それぞれの文化は、それぞれ独自の風土、風俗に根ざす固有の色や色名についての実感を保ち続けているのです。


世界中で、それこそ好き勝手に、偶然に命名されたようにみえる色名にも、なにかの普遍的、通文化的法則性があり、すべての言語における色名は、そのような普遍的体系を共有しているという仮説が発表されるようになりました。


これというのも、最近の新しい世界観、人間観にもとつくものにちがいないでしょう。


もはや地球上には、孤立的な文化も孤独で閉鎖的な言語も存在しなくなりつつあるのです。


色名の研究もだんだん地球規模になろうとしているのです。


それでも、まだ固有文化の特徴は依然として消えることはありません。


そして色名はやはり色名であり、あくまで色は色なのです。


しかも色は文化の産物であり、結局色名はその視覚体験の呼称にすぎないという事実はこれからも変わりはないのです。

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