さまざまな色の歴史 4

「モラ」は白のこともあれば、赤や黄色を示すこともあるわけです。


いわばたくさんの焦点をもつということが推定されるに至ったのです。


バーリンとケイの基本色彩語モデルは、いわば二元論的、ニ文法的な論理でまとめられています。


しかし、ケイとマクダニエルは、基本色彩語による範疇化は、そのような明快な過程を辿るものではなく、どっちつかずの曖昧な要素を含む複雑な過程なのだと考えました。


彼らはそのような色のカテゴリーを「ファジー・セット」と名づけています。


そして彼らは11種類の基本色彩語の普遍的な焦点のかわりに、人間の色彩知覚の基礎にある神経生理学的過程によって、人類共通の色彩を範疇化する通文化的モデルを考えようとしました。


こうして色名の比較言語的研究の中に、色覚モデルや電気神経生理学実験の成果などが採用されることになったのです。


さまざまな色の歴史 3

バーリンとケイの仮説モデルの第一段階にある、基本色彩語を2つしかもたない民族では、その2つの色名はかならず黒と白を意味する言葉であるとされていました。


ところが、ケイとマグダニエルの論文では、ハイダーによるダニ族についての現地調査の報告を一例として取り上げ、彼らの仮定に対して疑問を投じています。


そこで取り上げられたダニ族も、2つの色彩語しかもっていませんが、彼らの「モラ」と「ミリ」という2つの言葉は、どうやら単に白と黒、あるいは明と暗を表しているだけではなさそうだというのです。


ハイダーの同部族に対する実地調査によると、「モラ」は白い色だけでなく、赤、オレンジ、ピンク、黄、赤紫などすべての暖色系を含めて指示する言葉であり、同様に「ミリ」という言葉も、黒だけでなく青や緑などの寒色系を一括して代表する言葉だということがわかりました。


そういうことになりますと、これらの色名の焦点となる色の位置も、必ずしも常に白のような最高明度の色か黒らしい色に決まっているとはいえなくなります。

さまざまな色の歴史 2

論文『基本色彩語の意味の言語学的異議』(1978年)には、バーリンとケイの著書以後に知られるようになった新しい現地調査の結果や、関連研究分野からもたらされた知見などがまとめて紹介されています。


そこから引き出された改訂モデルは、バーリンとケイのモデルよりもずっと有効な解答を示してくれるように思われます。


色の認識と、人間の色の命名との間の仕組みを考えてみる参考として、このような研究の現状を知っておくことも決して無駄なことではないでしょう。


バーリンとケイは、マンセル・システムの色彩表によって、書く言語の基本色名で呼ばれる色の範囲を示しています。


彼らは、各言語によって、あるひとつの基本色名で範疇化される色の範囲には多少の差があるとしても、その色名の焦点ともなる色の位置には、通文化的な共通性があると仮定しました。


ただし、この結果は、現地住民に対する調査から得られたものではなく、主としてそれぞれの文化と言語に通じた複数言語習得者の報告者の指摘に頼ったものでした。

さまざまな色の歴史

マンセル色票集を使って、各言語の基本色彩語の範囲や中心の色を示して比較するような実証的な研究法や、その命名の通文化的普遍性を考察するというような試みは、以前はなかったのです。


バーリンとケイは、多くの言語における基本色彩語の比較検討を通じて、すべての言語は、基本的な色彩経験を範疇化する普遍的体系を共有していると考えました。


彼らが仮定した基本色彩語の進化的分化のモデルは、大変興味深いものです。


ところが、この研究報告は、各方面からの反響があっただけに、それに比例して多くの論議を引き起こし、各分野の研究者による各種言語の基本色彩語の現地調査や、彼らのモデルの再検証をうながすきっかけになってしまったようです。


その後、さまざまな再調査や学際的協同』研究が続けられました。


そして、P.ケイとC.K.マグダニエルの連名によって、前掲モデルに対する反証や、新しい改訂モデルが発表されました。

脳は細胞でできている 2

人間ももちろん多細胞生物だ。
脳だけでなく、人間のからだは皮膚も、肝臓や心臓といった内臓も、ぜんぶ細胞でできている。

その数は、なんと50兆個にもなる。
その一部が脳の細胞ということになるのだが、その脳の細胞をもう少し細かく分類すると、神経細胞というものとグリア細胞というものに分けられる。

これらの脳の細胞は他の細胞と違った形をしている。
ふつうの細胞は丸い形をしているものが多い。
ところが、神経細胞もグリア細胞もちょっと複雑な形をしているのである。

神経細胞は、にょきにょきと伸びている手のようなものをいくつももっていて、まるでSFに出てくる宇宙生物のようだ。

一方、グリア細胞は、星のように短い突起をたくさんもっているものもあるし、突起の少ないものもあるし、小さくて、突起をわずかに出しているものもあるといったように多彩である。

脳は細胞でできている

脳の基本的な部分の各部は、何でできているのかというと、細胞で構成されている。

細胞というのは、生物を構成する基本的な単位で、人体の場合、平均17ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリメートル)程度の大きさのものである。

ロボットが金属でできているのと同じように、生物は細胞でできている。その生物は、単細胞生物と多細胞生物に分類される。
アメーバやゾウリムシなどの原生動物といわれるものや、植物プランクトンなどの植物は、たった1つの細胞でできていて、これらが単細胞生物。

たくさんの細胞が集まってできているのが多細胞生物で、ほとんどの動植物は多細胞生物である。

頭から背中を走る脊髄 2

カエルより高等な猫に脳と脊髄のつながりを切ってしまう実験を行うと、足を引っ込めるくらいの単純な反応しか示さないのである。

いずれの場合も、脳が関係しないで、脊髄で反射が行われ、足が動いているのだが、高等な動物になればなるほど、つまり脳が複雑な働きをする生物ほど、脊髄と脳との関係を絶たれると、単純な反応しか示せなくなってしまう。

裏を返せば、高等な動物になるほど、手足を動かす働きが脳と密接な連携を保っているということである。

もちろん、人間でも脳の命令を待たずに反応することがある。熱いものに触って手を引っ込める反応などがそうだ。
だが、人間の場合、脊髄だけでは、それ以上の複雑な動きはできない。

複雑な動きをするには、脳まで情報が伝わって、そこから命令が出ていかなければならない。

頭から背中を走る脊髄

延髄の下には脊髄がある。
厳密には脳とはいえない部分だが、脳と切っても切れない仲。

背骨の中を通っているもので、長さは身長の28~29%。
日本人だと40~47センチメートルで、4つに区分され、上から頸髄、胸髄、腰髄、仙髄となっている。

この脊髄は、さまざまな刺激を受け入れて、直接反応するだけでなく、刺激を脳に伝え、脳からの命令を受け取ってから反応するといった役割を果たし、脳と密接な連携を保っている。

脳と脊髄のつながりを切ってしまうとどうなるか、その例を動物の実験で紹介しよう。
力エルの皮膚の上に酸を浸したろ紙をのせてみる。
すると、足を曲げたり伸ばしたりしてろ紙を取り除いてしまう反応が見られる。

小脳はシワだらけ 2

小脳、動物界では、高等になればなるほど進化している。

両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、そして人間と、進化の過程に沿って小脳の変化を見てみると、高等になればなるほど、脳全体に占める割合が大きくなっているのである。もちろん重さも重くなっている。

シワも高等なほど多い。
それだけ、高等になるにつれて役割の重要度を増しているということなのだ。

では、小脳は、人間ではどのような役割を果たしているのか?
からだのバランスを保ったり、自分の意思で行う運動をスムーズに行うための調節を行ったりしているのである。

小脳はシワだらけ

脳を横から見てみると大脳の後ろにくっついているけっこう大きな、シワだらけのかたまりが見える。
これが小脳だ。

後ろから見ると、大脳と同じように左右の2つの半球でできているのがわかる。
中央がくびれたようになっていて、左右がふくらんでいるという形だ。
左右の半球を小脳半球といい、くびれた部分を虫部といっている。

小脳の重さは約130グラム。
大脳皮質の約10%ほどの重さだが、表面積で見ると、なんと大脳の約75%もあるのだ。
シワをたくさんつくって表面積を大きくしているわけで、だからシワだらけなのである。
ちなみに、小脳のシワは、大脳皮質のシワよりはるかに小さいものである。